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コレクション

その2 イチローの95年着用ユニフォーム

博物館というと古いものばかりを集めた場所というイメージがあるが、〝今〟を伝えていくことも重要な役割だ。野球体育博物館内の「プロ野球TODAY」というスペースには、現在活躍している選手が使用したユニフォームや野球用具が12球団ごとに展示されている。そしてそこは、奥に続く過去の名選手を紹介するスペースへの導入部。昔を知らない子供たちに、分かりやすい今のものから歴史を伝えていこうという工夫だ。

さて、現在、同博物館で催されている「プロ野球の記録展」に、5年前まで〝今〟として展示されていた、現在では貴重な所蔵物が公開されている。米マリナーズ・イチローが、オリックス時代の95年に着用したユニフォームとバットだ。阪神淡路大震災が発生したその年、「がんばろうKOBE」の袖章を着けたオリックスは日本一となり、イチロー自身も2年連続首位打者に輝いた。「プロ野球TODAY」でユニフォームが飾られるのは、チームの主力中の主力選手。この年の活躍で、オリックスのブースの中心は文句なしにイチローのユニフォームとなり、00年、7年連続首位打者となりメジャーへと渡るまで展示され続けた。

現在、イチローをはじめ多くの日本人が活躍するメジャー。その道標を築いた野茂英雄がひとり海を渡ったのも95年だった。神戸の街を沸かせたブルーウエーブの名前は昨年、再編の波にのまれて消えた。短くも濃密なこの10年の歳月を感じさせてくれるユニフォームである。

バットは210安打達成の翌年、95年春に寄贈されたもの。

(文責=編集部)

掲載号/週刊ベースボール 2005年7月11日発行 第29号
取材協力/財団法人野球体育博物館

※記事は掲載時のまま掲載しています。記録等は掲載当時の情報に基づいています。また、会期の終了した企画展や、現在は館内で展示していない資料を紹介している場合があります。ご了承下さい。

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